<font color="F8F8FF">人は神になる</font>
AVATAR(アバター:権化)
神より力を与えられた者、神が宿りし者。
ヒンドゥー教由来の古い言葉だが、
現在ではネット上のバーチャルコミュニティやゲーム等で使う、
自分の分身を意味する言葉として主に使われている。
レイザーサンクションと名うっているが、オープニングで画面に現われるタイトルは、
「AVATAR」
ちなみにエンディングでもまた現われる。
配給があのアルバトロスだったもので、
まぁカワイイおねーさんドンパチB級SF物ぐらいにしか思ってなかったのですが、
これが実にナカナカ練られた秀作で、返却を延滞して2回も観てしまったのです。
ジェン・ホン・クオさんという方が監督なのですが、名前から察するに中国辺りの人でしょう。
なんと話の舞台はアジアなのです。
ヨーロッパでもアメリカでもなく。
近未来アジアンSFですよ?!
もうね、世界観からしてもうツボ。ブルズアイ。
東アジアのあの独特な喧騒というか雰囲気と、最新のハイテクがミックスされた世界観。
分かりやすくというか一言で言うと攻殻機動隊風味。
まぁあそこまで進んではいませんけどね。
電脳化や擬似空間体験、昆虫型スパイロボット、
94歳なのに見た目35歳くらいに出来るバイオテクノロジーぐらいかな?
サイボーグとかは出てこないね。武器も普通の実弾。
主人公の持つカスタムしたガバ?(S&Wかも)はイカス。
ってもう士郎正宗世界じゃんさコレ・・・。
まぁいいけどね。
でも逆にその進み過ぎてない地味なハイテクが親近感を持たせ、
同じアジア人という事も手伝ってか、妙にしっくりとすんなりと話の舞台に入り込めるのです。
おおまかな話は、巨大企業集合体がネットワークを牛耳り、社会を支配して云々・・・。
とまぁ割と定番なパターンなのですが、その社会の支配者達のキャラや、
ジュールスという名の人工生体(衣裳がグー)、
独自のネットワークで意思の共有ができる謎の反社会集団等、
実際に有り得るなぁ・・・と考えさせられてしまう要素がもの凄く多いのです。
こういう技術や研究って実際に今やってるよな~、とか。
リアリティがとても高いです。
そして何よりも東洋世界観ならではの精神世界的台詞の数々。
ってそんなに大袈裟では無いのですが、明らかに西とは違いますな。
こういう感性ってやっぱ日本人はしっくり来るよね。
頭だけでなく、体で意味を感じ取れる言葉。
って言うのかな?
絵の通り主役は白人の女性だったりするのですが、もう他のキャラや世界観に押されてますね。
登場人物の誰もが主人公でもいけそうというか。濃いです。
でも意図的に主人公を強く出さない様にしてるっぽくも感じられるので、
全体のバランスを重視して作ったのでしょうかね?
キャラより話。
SFというジャンルにおいて特にコレは鉄則だと思うのですがどうでしょう?
映画とはメッセージです。
それを観てその監督が何を伝えたいのかを感じます。
巨大なネットワークに依存した管理社会への警告?
果て無き欲望が行き着く先とは?
神とは・・・?
まぁ色々考えさせられる事が多かった本作ですが、
こういう「話」を観せれる監督さんは貴重だと思うので、
これからも良い作品を作ってもらいたいなぁ、と思う。
ってかアルバは宣伝下手過ぎ。
この映画はアクション映画じゃありません。
「ガタカ」や「ブレードランナー」の様な、
そう遠くない未来にこうなっちゃうかも系SFですよ?
それなりの科学的根拠とか高いリアリティで世界観を作り、
話で魅せる監督ですって。
SFサスペンスじゃんさ。
もうジャケが駄目。ダークエンジェルと間違えられるってばさ。
どう見てもアクション映画にしか見られないって。
渋く「AVATAR」でいいじゃんタイトルとか。
いかにもB級っぽいタイトルやめようよ。
モノトーンの渋いジャケに小さく赤で「AVATAR」とか入ってたらカッコイイのに・・・。
あー勿体無いなぁ、秀作なのに~。
CGがショボいのは低予算という事でご愛嬌。
「話」
を観て頂きたいですね、この作品は。
う~ん、久し振りに良いSF観た!